【教育費の無償化”を考える】
大型連休に入り、街頭活動をしていると、大勢の家族連れの姿を見かけます。子どもの嬉しそうな笑顔を見ると、つらい(?)活動も癒されます。
あさっては「こどもの日」。今回は、「おおさか維新の会」が政策の柱に据えている“教育費の無償化”について考えたいと思います。
●教育にかかるお金は高すぎる
まず、今の教育にかかるお金は高すぎると思います。私自身、子ども3人のうち、上の子2人は(中学1年生と小学4年生)塾に行かせています。塾代は、毎月、何万円にも上ります。高い学費を払って塾に行かせなければ一定程度の学力を保てない、今の義務教育は、やはり少しおかしいと思います。
そして、広く認知されるようになった“親の経済格差がもたらす子どもの学力格差”の問題。今や格差社会の象徴になっていますが、それもそのはずです。
文部科学白書によりますと、大学卒業までに各家庭が負担する平均的な教育費は、
▽公立の幼稚園から高校まで在学し、国立大学に進学した場合がおよそ1000万円、
▽それが、すべて私立になると、およそ2300万円になるとしています。
私の場合は子どもが3人いるので、実に3倍にもなります。
そして、白書では、「子どもが大学生になった時点で、その時点の収入では教育費をまかなうことができず、それまでに十分に貯蓄できる余裕がある家庭でなければ進学を選択肢に入れることすら難しくなる様子がうかがえる」と記しています。
こんな多額のお金を持っている家庭なんてあるのでしょうか?
●教育無償化の中身は
そうしたなか、「おおさか維新の会」が3月末に発表した憲法改正原案の柱が「学校教育の無償化」。現憲法の「教育を受ける権利(第26条)」を改正して、新たに無償化の文言を盛り込もうというのです。
具体的には、
▽「幼児期の教育から高等教育に至るまで、法律の定めるところにより、無償とする」
▽「経済的理由によって教育を受ける機会を奪われない」となっています。
ここでいう、幼児期の教育は“就学前教育”のことで、幼稚園だけでなく保育園も含まれるとしています。これが実現すれば、待機児童の問題はすぐに解決します。希望者は無償で受けられることが前提になっているからです。また、高等教育は、大学や大学院まで含まれます。
無償化の根拠について、維新の会は、「法律に定める学校における教育は、すべて『公の性質』を有するものであるので、無償化できる」としていますが、一理ある考えだと思います。
●子どもの価値の位置付けは
そこで必要になってくるのは財源です。4?5兆円が必要になるとみられています。現在、国の「文教及び科学振興費」の予算が5兆3000億円余りなので、それに近い額が必要になるというわけです。私の周りの人に話してみると、懐疑的な意見が多いのは事実です。いわく「どこから財源が出てくるの」、「現実味がない」など。私も、最初に聞いた時はそう思いました。
でも、最初から無理と決めつける必要はないと思います。公務員の総人件費(およそ26兆円)を2割削減するなど“身を切る改革”を実現してねん出する。不要不急の箱モノやイベントにお金をかけるわけではないのです。教育を、子どもの価値を正しく位置付ければ、必要だと思うはずです。
先日、待機児童の問題で、「保育所落ちた。日本死ね」の匿名ブログが世間を騒がしました。当初はあまり気に留めていなかった政府も、世論の声が大きくなってくると、重い腰を上げ始めました。このように、声を大きくしていけば、政治は実現化へと動き出すのです。
そして、その際には、大阪市で、橋下前市長が行ったような「バウチャー制度」を導入するなどして教育費を削減し、合理化も進めていけばよいと思います。「バウチャー制度」は、子どもの教育費として利用できる引換券を交付する制度のことです。この制度の良い点は、税金を、学校法人ではなく保護者や生徒に配ることで、それによって、子ども側の選択の自由が広がり、結果として、学校間の競争を促し、より良質な学校や教員が選ばれるといった効果が生まれます。
●出生率アップも期待
さて、無償化が実現すれば、子育て世代の家計はもちろん助かります。それだけではなく、出生率アップも期待されます。今の時代、夫婦が、▽2人目の子どもを作るかどうかは、家事や生活に夫が協力するかどうかで、▽3人目の子どもは経済的負担で躊躇すると言われています。教育にかかる費用負担をなくしてあげるだけでも大きく変わると思います。
●すべての子どもに平等に教育の機会を
私を含め、人生の価値観の中で「子供の幸せ」を最も大切なことに上げる人は多いと思います。「すべての子どもが、どんな環境下にあっても平等に教育の機会を与えられるような社会にしたい」。教育費の無償化はそんな夢を持っているのです。