【保育士の賃金カットは問題!】
日本維新の会の参議院議員・片山大介です。
各地の保育所は再開してきていますが、新型コロナの影響で「休園」や「自粛」になり、保育士の給与がカットされている保育所があると言います。
それは問題です!
国は、今回、コロナで、保育士が休みになっても、賃金を全額もらえる仕組みにしていました。
なので、カットされるとなれば問題!
どういうことが起きているのか説明します。
《「委託費」を満額支給》
そもそも認可保育所には「公立」と「私立」があります。
「公立」の認可保育所で働く保育士は公務員なので、給与などはある程度守られています。
一方、「私立」の認可保育所は『社会福祉法人』や『株式会社』などが運営していますが、こちらのほうで賃金カットのケースがあるというのです。
「私立」の認可保育所には、運営にあたって、「委託費」と呼ばれる費用が、▽国や自治体、それに▽保護者が支払う保育料から、支給されています。
「委託費」は、▽受け入れる園児の年齢や▽施設規模によって、「公定価格」から算定され、施設ごとに支給されています。
ちなみに「公定価格」では、保育士の年間賃金は395万円となっています。
国は、今回のコロナで、休園や自粛に関係なく、各施設に対して「委託費」を満額支給することにしました。
もともと不足している保育士に、コロナ禍でも頑張ってもらうための配慮で、保育士は、休んでも休んでいなくても、通常どおりの賃金を支給されることになったわけです。
なのに、給与カットが起きているというのです。
《国は何度も通知》
内閣府も、こうした事態を把握していて、全国の都道府県に対し、この数か月、何度も「通知」や「事務連絡」を出してきました。
事務連絡のQ&Aは、3月から5月の間に8回も更新して出して、保育士の給与について「適切に対応してほしい」と指示しました。
通知は、都道府県経由で市町村に行きますが、市町村の中には『「委託費」を出した後は、個々の施設の問題』として、実態把握に努めないところもあるんです。
《改めて露呈された「弾力運用」》
こうした賃金カットが行われる背景には、施設側に「委託費」に対する甘い認識があります。
国は、2000年以降、株式会社などの保育業界への参入を促すため、「委託費」の弾力運用を認めてきました。
「委託費」は、▽人件費や▽施設費などの各費目を合算して支給されますが、弾力運用によって、各費目のお金を、別の費目に使ってもよいことにしたのです。
でも、「委託費」のうち8割を占めるのが「人件費」。
なので、ほかの費目に回されるのは、主に「人件費」となり、これが、保育士が本来もらうべき年収(395万円)を下回っている原因になっているんです。
保育業界は、もともと「利益率が低い」と言われ、運営する事業者が営利を求めれば、当然、「人件費」の弾力運用を行うことになります。
「人件費」をきちんと給与に充てない姿勢が、今回のコロナでも起きたといえます。
《第2波に備えて必要なこと》
第2波がいつ来るかも分からない状況下で、今でも、保育士の給与について誤った運用を行っている施設があると言います。
もし、給与カットされている保育士がいたら、勤め先の保育所に理由を尋ね、交渉してほしいと思います。
国は、保育士の賃金が減らずにすむ手だてを打っているのに、カットが行われていたら、感染リスクのなか働く保育士が報われません。
保育所は、自治体の責任で設置する福祉施設であり、行政は、より厳しく監督する責任があると思います。