【どうなる9月入学~影響や課題は?~】
今回は、にわかに浮上した『9月入学』について。
政府は、現在、9月入学にした場合の課題などを洗い出す作業を進めていて、来月(6月)上旬には方向性を示すとされています。
【教育機会に大きな格差】
そもそも、この話が出てきたのは、学校の休校が既に2か月にも及び、学習の遅れなどの問題が顕著になってきているから。
実は、私の9歳になる子どもは、公立の小学校に通っているが、課題のドリルを渡されただけで、家庭に丸投げの状態です。
一方、私立の有名小学校では、双方向型のオンライン授業を時間割どおりに進めていて、▽地域間の休校格差だけでなく、▽学校間の待遇格差も広がっている状況で、一人の親として、おそろしさすら感じています…。
【学校再開 揺れる判断】
そうしたなか、政府は、3日前、『緊急事態宣言』の今月末までの延長を発表。
学校の再開は、『地域の感染状況に応じて、段階的に再開する環境を作る』とされ、各自治体で、▽休校延長か▽再開するかを決めることになりました。
これは、都道府県立学校の再開時期を示した地図で、多くは今月末まで休校を延ばしましたが、青森、岩手、鳥取の3県は、今月7日から再開したほか、検討中の県もあります。⇒ https://bit.ly/35CpHyb
そうなると、「いっそのこと、9月入学で仕切り直しに」という声も、さらに出てくると思います。
実際、都道府県知事からの要望も大きく、東京の小池知事や大阪の吉村知事、宮城の村井知事らが旗振り役で、全国知事会は緊急提言を出して「国民的な骨太の議論を行うべき」と要望しました。
【総理は「前広に検討する」】
では、政府の動きはどうか?
安倍総理の腹の内は、なかなか分からないが、「前広に検討していきたい」などと言い、まんざらでもない感じもします。
政府は、ふつうは、できないことは「できない」と言うが、今回は否定もしていません。
ただ、ここで注意すべきは、検討されるのは、あくまでも「来年の導入の可否」という点。
ことしではなく、今の遅れを1年半かけて直していこうということなんです。
【考え出したらきりがない】
さて、9月入学のメリット・デメリットはいろいろありますが、このうちのひとつ「国際化への対応」を取り上げてみます。⇒ https://bit.ly/3fusaPK
よく「9月入学はグローバルスタンダード」と言われますが、実際どうなのか、主な国の入学時期を調べてみました。⇒ https://bit.ly/3c7ZBp7
これを見ると、欧米の主な国は9月だが、そうではない国も多く、スタンダードというほどではありません。
その一方で、9月入学が、今の日本の社会構造を大きく変える機会になるのは確かだと思います。
新卒一括採用など、日本は、年度を基準にしているできごとが多く、これまで変えられなかったものを、一気に変えられる可能性は出てくるので、私個人的には、前向きに検討すべきだと思っています。
【国家百年の計】
そして、その「9月入学」を決める前に必要なことは、子どもたちの今ある問題を解消しておくこと。
今、一部でしかできていない「オンライン授業」を全国で行えるようにするほか、授業が遅れている分の学期編成をどうするか、来年春の入試をどうするのか、そうしたさまざまな手立てを講じるべき。
そうした手立てをギリギリまで行い、今ある制度の柔軟な運用を考えていくうちに、「9月入学は案外難しくない」という話になるかもしれません。
いずれにしても、教育は「国家100年の計」。
本来なら「国民投票」にも値するもので、国、国会の立場から、きちんと議論し、国民に納得してもらう必要があると思います。