【小中高校の一斉休校】

 『元NHK記者片山大介のなるほど政治リポート』、6回目となります。

 総理が、先週、全国の小中学校、それに高校に一斉休校を要請しました。きょうは、総理の要請した一斉休校の初日にあたる3月2日月曜、いま、正午過ぎです。

 総理の発表以降、自治体や学校現場、仕事を持つ親を含め、いろいろ対応に追われています。そんななか、きょうからは参院では予算委員会が始まり、午前中からさっそく議論が行われています。

《ピークの分散効果》
 今回の一斉休校の要請について、総理は、「断腸の思い」による政治判断で行ったと言っていますが、気になるのは、今回の一斉休校について、政府の専門家会議でも感染防止にどれだけ効果があるかを検討されていないことです。

 「感染の封じ込め」というより、「ピークの分散」の効果を考えたのだと思います。

 「子どもを守る」と言うだけなら「満員電車に乗る親からの感染は」といった話になります。

 経済活動の主体(親)は抑制できないので、1400万人いる子どもたちの活動を抑制することで、感染のスピードを遅くし、高齢者や基礎疾患のある人への感染への時間稼ぎもできる。そういう考え方だと思います。

《唐突感は否めない》
 ただ、いずれにしても、唐突だったことによる混乱は否めません。

 一斉要請を発表する2日前(25日)には「基本方針」を決めたばかりです。そのときには、クラスターごとに感染を押さえ込む計画で、一斉休校はもちろん、大規模イベントの自粛要請も盛り込まれていませんでした。

 この直後に、基本方針の内容が次々と変わったことになり、これは、混乱もそうですが、国民の不安を招きます。「クラスターごとの対応では追いつかない特別な状況が生じた」のかと思ってしまいます。

 それもあってか、要請発表の翌日、文科省は、休校期間について「地域や学校の実情を踏まえ、設置者の判断を妨げない」とトーンダウンしました。

 もちろん、自治体はそれぞれ独自の対応を決めて、対応は分かれました。自治体の判断は尊重すべきものなので、それはそれでよいと思います。

 ただ、一斉休校を呼びかけた以上、政府は、根拠に基づく行動基準を示すべきであると思います。

《子育てしない人たちの発想》
 そして、この週末、私の周りの子育てをしている世帯の人たちに、改めて、どんなことが不安か、また困っているか聞いてみました。

 皆、口をそろえて「子育てなんてしてない人たちの発想だ」と言っていました。

 例えば、「有休を使う」と言ったって、有給の日数が足りない。子どもがいる労働者は、既に熱やらなんやらで、有休なんて、年度末の今、使い切っているのが実情だと言います。

 そして、下に保育園に通っている子がいれば、保育園もいつ休園になるか分かりません。今は、学童にスポットが当たっていますが、保育園児がいる親も戦々恐々としています。

 4月に新学期が始まってから感染者が出たらまた休校なのか・・・。それに、勉強はどうする?3月も、宿題が渡されるのだと思うけど、働いている親は見る暇もなく、どんどん勉強がおろそかに・・・・。そんな声も聞かれました。

 総理は、子どものために休む必要が出てきた人に対しては、「正規・非正規を問わず、しっかり休業手当てを行う」と述べましたが、制約や限界はなく、すべてカバーするのか?いつまで、いくら助成されるのか?こうしたことを皆気にしています。なので、早く詳細を詰めてほしいと思います。

《出口戦略はどうなっている?》
 いずれにしても、今回の対応で、感染拡大のピークカットはできると思いますが、完全に収束することはないと思います。

 収束というのは、ピークの山を繰り返しながら、段々と下がっていくものです。そうなると、出口戦略として、どの時点で「平時モード」に戻すのかが知りたくなります。

 保護者の声にもありましたが、春休み明けに、国内の感染状況が、どの程度なら登校できると考えているのか、行動基準と合わせて示す必要があります。

《あさって4日に質問》
 私は、あさっての予算委員会で質問に立ちます。この日の予算委員会はテレビ中継はありませんが、ネット中継はあります。
 ⇒http://bit.ly/2NH4Ou7

 また、ユーチューブでも、録画で質疑の様子をお伝えします。